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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)
第 3 号 平成16年12月8日
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今年も早いもので、残すところあとわずかとなってしまいました。
平成13年4月に発足した水産総合研究センターは、時代の流れとともに
昨年の3法人統合、そして平成18年度からは次期中期計画がスタートする
とともに、新たな法人統合が予定されるなど変化し続け、文字どおり「師走」
の状態で日々走り続けております。
これからも、時代のニーズに即した体制づくりと、成果の迅速な社会還元
など、皆様から必要とされる組織になるよう、役職員一同努めて参ります。
【目次】
◆シリーズ 「世界の海から」のテーマで連載中です
◆調査船運航状況 今回は「北光丸」と「開洋丸」です
◆会議・シンポご案内 KHV国際シンポジウムほか
◆イベントご報告 マスの採卵体験など
◆ローカル便り 各水産研究所より
◆プレスリリース報告 11月10日リリース
◆編集後記 担当者のぼやき
◆配信手続き 配信停止・配信先変更等
【シリーズ】
世界の海から
・・日本人の食卓には世界のさかながいっぱい!・・
私たちの食卓に世界の海で獲られた魚介類が並ぶようになって約30年。
でも、どこの海からどんなさかながきているのでしょう?その味は?どの
ような料理がお薦めでしょうか?シリーズ第2号はその中でも古参格で西
日本で人気が定着した
キングクリップ(学名;Genypterus blacodes
英名;ニュージーランドでLingもしくはKingclip)
かつて「アマダイ」など便宜的な名称で売られていたこともありますが、こ
の現地名が定着してきました。
印象深い風貌の最大2mになる大型のアシロ科の魚です。日本ではヨロ
イイタチウオやソコボウズが近縁です。
→このさかな&ソコボウズのはくせい写真
南半球のニュージーランド、オーストラリア南部、チリ、アルゼンチンの大
陸棚縁辺、水深200-700mの海底に棲んでいます。
→このさかなの開発海域
1970年代始めから日本のトロール漁業による搬入が始まりました。現在
の世界の漁獲は約3万トンです(FAO)。うち約1割弱が日本に輸入されてい
るようです。
現在、キロあたり300-400円で輸入業者から切り身業者へ販売され、広
島県など消費は西日本中心です。
しっかりした白身でクセがなく、ちり蒸しや鍋(半日くらい薄塩)、フライや
ソテーなど、和風、洋風いずれの料理でもGood!
・・・新しい魅力 魚の料理集(JAMARC1976)には6種の料理が紹介され
ています。
なお、ごく近縁の南アフリカ産アフリカアシロ(G.capensis
現地名;Kingklip)が小量輸入され、同じ魚として販売されています。現地で
は高級魚でクリスマスにキングを食べ新年を祝います。
【調査船運航状況】
北光丸(北海道区水産研究所所属)は、12月14日から20日まで7日
間の予定で、道東沿岸域において、マイクロネクトン(小型遊泳動物)の
現存量・種組成の季節変化を解明するための調査航海を行います。
北光丸といえば、本年8月31日に新潟造船株式会社で建造・引き渡し
を受けたピッカピカの新船で、最新鋭の観測機器類を搭載しています。
開洋丸(水産庁所属)は、12月6日から来年3月22日まで107日間
の予定で、なんと南極海において、鯨類の餌生物であるナンキョクオキ
アミを中心に生態系・環境の調査航海を行っています。
開洋丸といえば、水産庁及び水産総合研究センター内の漁業調査船
の中では最大(2,630トン)で、南氷洋まで行けちゃうんですよね。
本調査の詳細(水産庁HPより)
【会議・シンポのご案内】
◆KHV(コイヘルペスウイルス病)国際シンポジウム
昨年から全国各地の河川・湖沼でコイに深刻な被害をもたらしたコイヘ
ルペスウイルス病に関する国際シンポジウムをご案内いたします。
東京海洋大学と共催で、「コイヘルペス感染症の現状と防疫対策」と題
し、以下のとおり国際シンポジウムを開催いたします。
講演は、イスラエル・インドネシア・英国・ドイツの研究者と東京海洋大
学・水研センター・SEAFDEC・日本獣医畜産大学の科学者が行います。
日 時 平成16年12月15日 9:00〜17:00
場 所 東京海洋大学品川キャンパス楽水会館(東京都港区港南)
参加費 無料
その他 講演はすべて英語で行われます
詳細はこちら →
お問い合わせ、お申し込みはこちらまで
〒108-8477 東京都港区港南4−5−7
東京海洋大学
大学院海洋科学技術研究科ゲノム科学講座
TEL 03-5463-0689
◆みなみまぐろ加入量モニタリング 国際レビューワークショップ
水産総合研究センターでは、オーストラリアのCSIROと共同で上記のワ
ークショップを開催します。ライントランセクト(線上調査法:あらかじめ設定
した調査線上を調査船にて一定の速度で移動し、調査線付近で発見され
た個体の数と関連する情報を収集し資源量を推定する方法)などを始めと
した科学的資源量モニタリング調査の重要性はいつも指摘されますが、
資源評価・資源管理に活用されているケースは必ずしも多くないようです。
ワークショップでは調査実施とモニタリング指標活用の両面から、長期
的な信頼度の高い資源モニタリング指標を確立するにはどうしたらいいか
を探ります。調査から資源管理に至るまで、あらゆる分野の方々からの率
直なインプットを期待しています。
日時 平成16年12月15日〜17日 10:00〜18:00
場所 中央水産研究所国際会議場(横浜市金沢区福浦)
お問い合わせはこちらまで
遠洋水産研究所 浮魚資源部
温帯性まぐろ研究室 辻 祥子
TEL 0543-36-6042 FAX 0543-35-9642
◆シジミ種判別技術研修会
水産総合研究センターでは、最近増えつつある外国産輸入シジミの
国産シジミと虚偽原産地表示に対し、食の安心・安全を確保するため
DNAによる種判別技術開発を進めた結果、国内産と外国産のシジミ
を高精度で判別できる技術開発の目途がついたため、これまでの研
究成果を生産・流通現場でも活用して頂くため、シジミ種判別技術講
習会を開催いたします。
日時 平成16年12月16日9時〜17日12時
場所 養殖研究所玉城庁舎(三重県度会郡玉城町)
対象 水産試験場等の研究者
内容 DNAを用いたシジミ種判別技術習得のため、講義および実
習を実施する。
お問い合わせはこちらまで
養殖研究所 生産技術部
育種研究グループ 小林正裕
TEL 0599-66-1830
【イベント等のご報告】
◆第4回地域水産加工技術セミナー
平成16年11月18日に函館市の函館競輪場テレシアターにおいて、
第4回地域水産加工技術セミナーを開催いたしました。
今回は、地元函館では加工原料として引き合いの多いイカに関して、
資源・加工技術の展望・食品表示についての民間企業の取り組みなど
の講演を行い、水産加工業者の方々をはじめ多くの方に参加頂きまし
た。
これを機に、地域と研究機関の連携がより強化されるのではと感じま
した。
当日の様子 → http://www.fra.affrc.go.jp/new/kakou.htm
◆第43回農林水産祭「実りのフェスティバル」
平成16年11月19日〜20日に、東京都江東区有明の東京ビッグ
サイトにおいて第43回農林水産祭「実りのフェスティバル」が開催され
当センターもブースを借りて出展しました。
2日間の全体来場者は39,000人で、当センターブースにも2,327人
の来場者がありました。
特に「かつお一本釣り体験コーナー」「おさかなクイズ」など参加型ア
トラクションや、「ミニ水族館コーナー」のタイマイやオニオコゼなどの生
き物たちに人気がありました。
当日の様子 → http://www.fra.affrc.go.jp/new/nourinsuisansai.htm
◆マイチャレンジ!! マスの採卵体験
−自然の中から命のつながりを探そう!−
おさかな通信第2号でご案内しましたマスの採卵体験が、平成16年
11月23日に日光市の中央水産研究所日光庁舎において開催されまし
た。
当日はお天気にも恵まれ、東京・千葉・埼玉・茨城・栃木からの9家族
29名の参加者に生命の仕組みを体感して頂きました。中には、リピータ
ーの方や水研センターのホームページをご覧になって参加された方もい
て、担当者としてうれしい限りです。
朝9時半から午後3時まで、ニジマスのお腹を触って卵を取り出したり、
川の中に入って餌となる虫を探したり、湧水の流れる水源地帯まで山登
りしたりと盛りだくさんでした。
当日の様子 →
http://www.fra.affrc.go.jp/nikko/announce/sairanhoukoku16.htm
【ローカル便り】
◆新潟県中越地震によるニシキゴイ養殖被害の実態調査を実施
(中央水研)
10月30日に新潟県中越地方を襲った地震は、当地を発祥の地とする
ニシキゴイ養殖にも甚大な被害を与えました。その被害実態調査のため、
11月1日から2日、農林水産省により、水産庁栽培養殖課調査官1名及
び中央水産研究所内水面研究部職員2名が現地に派遣されました。ヘリ
コプターと陸路による被災現場の視察と情報収集を行いましたが、現地で
は当時余震が続き、通行止め箇所もありました。今後、新潟県とも連絡を
密に行い、一刻も早い復興に向けての取り組みを支援していきます。
◆第13回北太平洋海洋科学会議 (PICES XIII)にセンターから
多くの研究者が参加(中央水研)
米国ハワイ州ホノルル市で10/14〜10/24に開催された標記会議に水
研センターからも多数の研究者が参加し、北太平洋の海洋環境や海洋
生物に関する最新の研究成果に基づき活発な論議が行われました。
また、多数の研究発表が行われ、海産ほ乳類をはじめ多くの海洋生物
が集中して分布する海域(ホットスポット)についての興味ある発表もあり
ました。そのなかで、中央水産研究所資源評価部資源動態研究室の谷
津明彦室長と同部生態特性研究室の高須賀明典研究員がベスト・プレ
ゼンテーション賞を受賞しました。
◆水産総合研究センター展示情報室を中央水産研究所に開設
(中央水研)
水産総合研究センターの最新の研究成果と水産研究の歴史を紹介した
展示情報室を中央水産研究所横浜庁舎管理棟2階に開設しました。現在、
水産庁旧水産資料館の資料(祭魚洞文庫)を企画展示しています。今後、
水産に係わる歴史的資料の展示・保存から最新の研究情報の発信までを
目指して、内容を充実させていく予定です。会議や打ち合わせ等で同研究
所を訪問された際には、是非、展示情報室にお立ち寄りください。
なお、開室日時は土・日・祝祭日及び年末・年始(12月28日〜1月4日)
を除く9:15〜17:30です。
連絡先:中央水産研究所図書資料館
TEL:045-788-7609 FAX:045-788-5001
◆農林水産技術会議会長が中央水産研究所横浜庁舎を視察(中央水研)
11月17日、甕会長は中央水研横浜庁舎を視察され、川口理事長と松
里所長による水産総合研究センターの業務内容と中央水研の最近の主要
研究成果等の説明の後、水産遺伝子解析実験室、水産物残留放射能分
析施設、動物飼育実験室、そして調査船「蒼鷹丸」にご案内しました。水産
関係研究機関を視察されるのは初めてとのことで、特にマイワシの資源変
動や日本型食事の健康機能評価に関する成果、蒼鷹丸のトロール設備ほ
かに興味を持たれたようです。帰りの車中で「水産研究にはロマンがある!
」とのご感想を頂きました。
【プレスリリース報告】
「放流したヒラメを食べた主犯格はイシガニ
−胃内容物のDNA分析から判明−」 11月10日リリース
高級魚のヒラメ。その種苗放流量は、海産種苗の中では第1位の数な
のに、地域によってはせっかく種苗を放流してもあっという間に多数が消え
てしまい、その主たる原因は不明でした。
そこで日本海区水産研究所は、平成13年度より新潟県佐渡島真野湾
にて試験調査を行ったところ、その原因となる主犯格が見えてきました。
詳細はこちら →
【編集後記】
今日は平成16年12月8日。今は平成の世ですが、昭和時代の16年12
月8日と言ってピンと来る方は歴史にお強い方です。
今から遡ること63年前の今日、太平洋戦争が始まりました。
今の若者に、日本は昔アメリカと戦争したんだよ、ハワイを空襲したんだよ
と言ってもなかなか信じてもらえない時代となりました。
今日という日は、平和の時代に生まれたことへと、終戦から這い上がって
今の世代に現在の繁栄をもたらした諸先輩方の功績に、心から感謝いたし
たいと思います。
【配信手続き】
配信停止、配信先変更等は下記アドレスまでメールにてご連絡願います。
また、ご意見・ご感想等も、どしどしこちらまでお寄せください。
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独立行政法人 水産総合研究センター
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神奈川県横浜市西区みなとみらいクイーンズタワーB15階
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